旧の26号線沿い大阪向き、大浜北町交差点の手前に堺能楽会館がある!ってことを知ってますか?
昭和44年に完成だから今から47年前です。
堺の人なら何度かその前を通っているはず。
しかし・・・
ほとんどの人は、それに気づかない。ひっそり(こっそり)あるんです。
こんな感じです。
私もつい先日までその存在を知りませんでしたが、わいわい写真クラブの会員さんから「ぜひ行って見て」と推薦されてオーナー大澤徳平さんにお話をうかがいに行ってきました。
その存在を知らなかった人でも、写真と地図を見ると前を通ったことある人は多いのではないでしょうか。
建物が表から全く見えないので、その存在に気付く人はいませんよね。
その前に立っても「えーどこにあるの~?このビルの一室?」って感じ。
しかし、一歩中に入ってみると本格的な能舞台が有ります。
いったいどうなってるの?って感じます。
図解すると
こうなります。
実はこの能楽会館は市の施設ではありません。
大澤さん個人の持ち物なんです。
そして、この能舞台(能楽会館)を作ったいきさつを聞いて驚きです。
大澤さんのご兄弟は6人、全員が観世流という能楽を習っていました。
そこでお母様が子どもたちのために稽古場を作ろうと思い立ち、先生方と相談したそうです。
その話がどんどんエスカレート!
最終的にどうせ作るならどこにも負けない本物を作ろう!堺の財産を作ろう!というところまで膨らみました。
お母様の個人資産全てを投じて昭和44年に完成したのです。
総檜造り、檜皮葺の屋根の頂点には大澤家の「三つ柏」の家紋が。
この堺能楽会館と、前の雑居ビルの土地、そして能楽会館とビルの1階2階部分は大澤さん所有、ビルの3階から7階は住宅公団所有となっています。
7階建てのビルに隠れて能楽会館は表から全く見えません。しかし、そのおかげで表通りの車の騒音を全て消してくれています。
ですから、会館内は全く静かな空間が確保できているんです。
能舞台に車の騒音は全くNGですよね。
しかしこの能舞台の維持費だけでも相当なものなのでしょうね。
そしてお手入れも大変だそうです。
この桧の舞台は牛乳で磨くんですって。
適度な艶と滑りを出すために牛乳が一番いいらしいです。
私がお邪魔した6月1日は地元の大浜中学校の1年生が日本の伝統芸能の体験学習に来られていました。
実際に舞台に上がってお面をつけて能のこと狂言のこと、そしてこの舞台のことなどを教わります。
そして一番最後には「附子」(ぶす)という狂言を観ました。
狂言:附子動画
(鑑賞している中学生が映ってるので個人を特定できないよう画質を落として掲載)
附子
主人が太郎冠者と次郎冠者に附子という毒の見張りを命じて外出する。
二人はそれが実は砂糖だと知ってなめ尽くしてしまい、わざと主人の大事な物を壊して、附子をなめたが死ねなかったと言いわけする喜劇
終了後に大澤さんといろんなお話をしました。
大澤さんは、パッと見ただけでただ者ではなさそうな雰囲気の方です。
この日はしっかりじっくりお話を聞かせていただきました。
そしてお話ししているうちに大澤さんの魅力に取りつかれました。
とにかく堺を思う気持ちが熱く、80歳を過ぎてなお夢を持ち、将来の堺の思い描いておられます。
お話しの中で私も大きくうなずいたのは、堺から「南蛮文化」を発信する!という話。
「堺駅の横にある橋の上に南蛮人が立ってるやろ。堺の町にもっともっと南蛮人を増やして堺から南蛮文化を発信するんや!」
「南蛮を語れるのは長崎と堺だけやで!」
そしてザビエル公園を中心に南蛮人街を作っていろんなお店を集める。「ええと思わへんか!」
と熱く熱く語るんです。感動しました。
こんな人に出会えると「Omoroiさかい」をやって良かった!と思うのですね。
さて大澤さんの話に戻しますが、大澤家は、昔堺にたくさんのあった酒蔵の一つ「大澤本店」です。
堺の名家ですね。
能楽教室
堺能楽会館では重要無形文化財総合指定保持者である浅井文義先生による能楽教室を行っております。
一流の先生の指導を受けて本物の能舞台でその成果を発表できる!
最高の環境です。
興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
TEL:090-2107-7108/深田
おやじのギャラリー六平
その大澤家に代々伝わってきたお宝を集めた・・・と言いたいところなのですが、堺大空襲でそのほとんどが焼失。
疎開していた一部、お父様のコレクションと大澤さんの代になってから集めたものを展示しているのが「おやじのギャラリー六平」
名前は軽いけど展示内容はすごいです。
大澤さん曰くお母様もすごいけど、お父様はもっとすごい人だったそうです。
ギャラリーに足を踏み入れてビックリ。
その展示している点数も、内容も半端じゃないです。
私は全く目利きでないので、その物の価値を見極めることができません。
今度池田さんを連れて来よう。と思いました。
しかしすごそうな物がいっぱいいっぱいあります。一つ一つじっくり見てゆくと何日かかるの?というほどのスゴイ量です。
優しく、丁寧に説明してくださいました。
展示室の中で目を引く大きな石碑の拓本これは私でも知っている妙國寺前の「とさのさむらいはらきりのはか」の石碑です。
なんでこれがココにあるのか?
実はこの石碑は大澤家のご先祖様が建てたそうです。
まだまだ、いろいろ説明を聞いたのですがあまりにも多すぎて・・・
また、別の機会にしっかりとレポートいたします。
おやじのギャラリー六平
堺能楽会館
堺市堺区大浜北町3-4-7-100
電話:072-235-0305
堺能楽会館では本舞台や楽屋を見学し、舞台や能・狂言などを学べる。
ワンコイン体験ツアーを実施しています。
毎月第1第3土曜日 午後2時~4時です。
お申込みお問い合わせはお電話で
藤岡