-堺市博物館コレクション展 Part1 近代編-

ただいま堺市博物館で興味深い企画展が開催されているので行ってきました。

堺市博物館に所蔵されている明治~昭和の資料で私たち市民が「へ~そうなんだ。」と思わず言ってしまうものがいろいろ展示されていますので、皆さんぜひ足を運んでください。

なんと8月10日までは無料で入館できますよ!

展示内容は3部構成

まず第1章は「堺を描きのこす-郷土画家岸谷勢蔵の世界-」

岸谷氏は堺市大町(現堺区大町東)の木綿問屋の生まれで生涯堺の街並みを描き続けた人です。
その絵は戦前の堺の町の様子がわかる貴重な資料として堺市博物館には数多く保存されています。

今回の展示では空襲によって焼けてしまった実家の様子を戦前に描いた絵や、空襲による火災が燃え広がらないように建物を壊した建物疎開以前の街並みなど、戦争で焼ける前の堺の町の様子がわかる絵が展示されています。

そうそう「さかい利晶の杜」のロビーにある宿院周辺のジオラマ模型も岸谷氏の絵を元にして作られたそうです。

この絵は南海電車龍神駅付近です。
交差して下を走るのが南海電車、そして上の線路が今は無き宿院から分岐して大浜公園まで行った阪堺電車です。
ということは、この上の線路に沿って沿線の住宅が建物疎開で壊されてしまって。
広く長い空き地ができて、それが現在のフェニックス通りとなったわけです。

大浜公園にも菊人形があったそうです。

第2章は「パノラマ地図の風景-「大正の広重」吉田初三郎の世界-」

自分のことを「大正の広重」と言った吉田初三郎氏の鳥観図。
この人は全国各地の観光案内図を描いた画家で堺市博物館には彼が描いた様々な町の鳥観図が所蔵されています。

吉田初三郎氏の鳥観図は独特で自身が重要だと思うものは大きく描かれているようです。

これは稚内市鳥観図です。

市内の部分はものすごく精密に描かれ後ろの方には北海道全てが描かれています。

その初三郎氏が描いた堺市鳥観図がこれ。
昭和10年に描かれたそうです。

小さくてわかりにくいので大きな画像のファイルにリンクしています。
画像をクリックしてください。
じっくり見ると面白いですよ。
仁徳天皇陵と比較すると履中天皇陵がやたら小さいし、遠くにある大阪市はものすごく小さい、その割に大阪城は大きい。

そして大鳥大社は大きい!
よくよく見ると境内の様子は今とだいたい同じ感じです。

奥にある建物は文殊さんかな?

そして

第3章「近代万華鏡-教育・産業・観光-」

この章では教育、産業、観光の3つのテーマで展示されています。

まず教育のコーナーには明治以降「堺県」となった堺市の開口神社内にあった堺市の建物を仮校舎として誕生した堺中学校(現三国丘高校)の教科書や、堺市高等女子学校(現泉陽高校)の資料が展示されています。

産業では、1903年に大阪で開催された第5回内国勧業博覧会の会場となった大浜公園の様子をはじめ、今では知ってる人が少ない「酒どころ」だった堺市の資料が展示されています。

その中で私の目を引いたもの1つ目

アサヒビールの創業者「鳥井駒吉」が日本で初めて日本酒を瓶詰めにして売り出した清酒春駒の酒瓶

そして堺市中区にある兒山家の銀行「兒山銀行」の扁額

こんな物が所蔵されているんだ!と驚きました。

そして最後のコーナーが堺の観光です。

堺の観光地として紹介されているのが大浜と浜寺、どちらも海辺のリゾートですね。

でも少し雰囲気が違う感じだな・・・と思いました。
これは勝手な想像ですが、大浜には料亭が立ち並び近くには龍神という歓楽街がある。どちらかと言えば大人のリゾート。

そして浜寺は

この右の写真を見れば・・・
ファミリー向けリゾートだったのでしょうかね?
しかし「密」ですね。

そして左の写真は今でも浜寺公園にある明治31年に建てられた惜松碑です。

浜寺公園の松林を伐採から守ったのは明治維新の英雄大久保利通なんですって。


堺市本展示紹介ページ

10月4日(日)まで開催

入館料:一般200円(8月10日まで無料)


堺市博物館では今回の展示内容を詳しく学べる学芸講座が開催されます

講師は本日私たちを案内してくださった学芸員の江坂正太さん

江坂さんは愛知県の方ですが大学院で近代史を研究し、堺市に興味を持ち博物館に学芸員として入られた若きホープの男前です。

私からの質問にも即座に回答が返ってきました。
スゴイと感心。すごく堺を勉強されたんでしょうね。
近代史を学んでいる人にとって堺は魅力的な町のようですよ。

藤岡


学芸講座:近代堺万華鏡-近代は堺の地にいかなる文化を育んだか-

講師
江坂正太(当館学芸員)
日時
 令和2(2020)年9月6日(日曜)
時間
 午後2時~3時
場所
 博物館地階ホール
参加費
無料・但し企画展観覧には観覧料が必要です。 
定員
 30人(事前申込制・先着順)
申込方法
 令和2年8月6日(水曜)午前10時より、電話にてお申し込みください。
 電話番号:072-245-6201
※新型コロナウイルス感染症の影響のため、中止となる場合があります。